「悪い人ではない」
そう言い聞かせながら、私は長い間、自分の心と体を後回しにしてきました。

言葉に敏感な私は、何気ない一言に傷つき、それでも家庭を壊さないために踏ん張り続けてきたのです。

ある夜、身体の痛みをきっかけに、私はようやく気づきました。
理解と自己犠牲は、同じではないということに。

これは、境界線（バウンダリー）という言葉に出会い、
命を守る生き方へと舵を切り始めた、一人の記録です。

言葉の感受性が高い私が、やっと気づいたこと

昨晩、些細な出来事をきっかけに、身体に強い痛みが出た。\n左の臀部から股関節にかけての痛みで、眠れない夜だった。

不思議だったのは、\nその痛みが「偶然」ではないと、はっきり感じたことだ。


—

私は、言葉に弱い

私は昔から、言葉にとても敏感だ。\n言葉の強さ、温度、裏にある感情まで、身体で受け取ってしまう。

それは才能でもあるけれど、\n安全な環境がなければ、ただ命を削る性質にもなる。

母でさえ、私の言葉への感受性の高さに疲れ果てていた。\n「気にしすぎ」「面倒くさい」\nそう扱われることも多かった。

だから私は早くから、\n「感じないふり」「受け流すふり」を覚えた。


—

悪い人ではない、でも幼い

長年一緒に生きてきた相手は、悪い人ではない。\nただ、とても幼い。

自分の言葉が相手にどんな影響を与えるのか、\n想像する力が弱い。

発達特性もある。

だから私は、

先回りして理解し

飲み込み

大人役を引き受け

家庭を壊さないように踏ん張ってきた


娘のために。\n家庭を守るために。\nそして正直に言えば、\n一人で生きていく自信がなかったから。


—

命が削れる、という感覚

「命が削れる」\nその意味が、今なら分かる。

一度きりなら耐えられる言葉も、\n毎日、何年も浴び続けると、心と神経をすり減らす。

私はこれまでに、\nうつ病を経験し、\nてんかんを抱え、\nそして今、股関節の炎症を持っている。

すべてが一つの原因だとは言わない。\nでも、\n安全でない状態で、長年踏ん張り続けたことが、\n無関係だとはもう思えない。


—

バウンダリーという言葉に出会った

この対話の中で、ひとつの言葉に行き着いた。

バウンダリー（境界線）

相手を拒絶するための線ではない。\n自分が壊れないための線。

傷つく言葉は受け取らない

説明役・調整役を引き受けない

「それは今は聞けない」と言っていい

その場を離れていい


これは冷たさではなく、\n命を守るための技術だと、今は思う。


—

理解と自己犠牲は違う

相手に特性があることと、\nこちらが傷つき続けることは、別の話だ。

理解することと、\n自分を差し出し続けることは違う。

私は長い間、\n理解という名の自己犠牲を続けてきた。

身体は正直だ。\nもうこれ以上は無理だと、痛みで教えてくれた。


—

今、選び直している

別れるか、続けるか。\nそれはまだ決めていない。

でも、はっきりしていることがある。

これからは、自分を守る前提で生きる。

踏ん張る人生から、\n立つ人生へ。

耐えることで保ってきた関係は、\n形を変えるか、終わるか、どちらかだ。


—

同じように感じている人へ

もしあなたが、\n「悪い人じゃないけど、しんどい」\n「我慢してきたけど、体が限界」\nそう感じているなら。

それは、あなたが弱いからじゃない。\n強すぎて、支えすぎたから。

バウンダリーを引くことは、\n人生を壊すことじゃない。

命を守る選択だ。

この気づきが、\n誰かの静かな回復の入口になりますように。

バウンダリー